いままでとかく自己のアイデンティティに振り回され、ラララメさんに対して女装時に特に強く意識する恋慕の感情をあくまでもBLというオタク的言語に閉じ込めていわゆる恋愛ごっことでもいうべきアプローチをラララメさんのみならず波戸が自分自身にもおこなってきている。
この自分自身に対しての恋愛ごっこ的アプローチというのは、自分は男だからとか、810が言わせていることだからとか、まさしく今回ラララメさんが指摘している現実的に考えて~といった言い訳のことである。
今回はそうしてBLを幻想としてとらえ続けてきた波戸にたいして、ハーレム展開であったり吉武からの誰か一人決めてくれという要求であったり「たとえ酔ってるとしても俺がこんなに強引に出れる相手は波戸くんだけだと思う」というセリフから読み取れる受け攻め的立ち位置をふくめ、もはや現実の恋愛対象の一人と受け止めているラララメさんとのギャップが衝突した回といえる。

そしてなにより重要なのはこの衝突を経て、波戸が(これ以上の期待はしちゃいけない……!!)(………でも それでも 一瞬でも僕は受け入れられたんだ)とあくまでもオタク的ファンタジーとして認識していたBL的展開を、前半部分の独白によって自己のリビドーが実現化されていこうとしていたという認識、後半部分においては他のラララメさんを巡るライバルたちと違って自分は同性だからそもそも同じ土俵に立てないという諦観を含め、波戸のコンプレックスをラララメさんが受容してくれたこと、この二点においてBL的展開を現実として認識できたことである。
特に自分のコンプレックスを他者が受容してくれるというのは、その他者を鏡像として自分自身がそのコンプレックスと対峙できるということでもある。


ここに至ってはもはやBLというファンタジー的な言語ゲームから抜け出して同性愛というよりリアリティのある言語ゲームへと昇華されていくべきであろう。
現実問題として同性愛者同士ではなくてもお互いが《この人だから》という前提でもって愛し合うことにいささかの問題もないのだから。

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