年の瀬も差し迫った12月のある日、4人の男女亜侠がバカンスからオオサカの街へと帰って来た。

ミス少女。アフリカ出身の女性。20歳。
本名を捨てた彼女は元々夢見るセクシーピストルズというチームに所属していたが、亜侠の仕事に厭きていたのだろうか、特に何もせず寝まくっていたようだ。

山本しま。日本人の女性。29歳。通称殺し地獄。亜侠としては駆け出しだが、異常に怪しい仏教系の新興宗教の教徒であり、その言動からなにかしら人に言えない役割を担っているようである。7つの数珠で敵対者を物理的に昇天させる使徒。亜侠としてデビューするまで教主の別荘で過ごしていたらしい。

ボリス・マーヒル。西アジア出身の男性。78歳。通称おっぱい殺し。
以前の仕事で大金を稼いだのか、一度故郷に里帰りしていたのだが、そこで運命的な出会いを果たし、まさかの結婚。妻帯者として再びオオサカに帰って来た。なお妻は日本ではアウアウラインの幼妻(メイド)である。

ソム・パット。東アジア出身の男性。27歳。通称ピンク地獄。
銀行強盗に二度も成功し、その金で海外旅行を楽しむも帰りの空港で誰かに荷物を取り違えられてしまう。大事なカラシニコフがいつの間にか大量のシャブに。

こんなバラバラでお互い面識も無い四人だが、彼らには一つだけ共通点があったのである。それはオオサカの街で今流行しているカードゲーム、マジックザギャザリングの愛好家ということだ。
久しぶりのオオサカで久しぶりにEDHを遊びたくなった彼らはとあるショップのEDH専用フリー卓に座ったのである。

和気藹々とデュエルをしていると四人に話しかけてくる人物が一人。オオサカでは知る人ぞ知るfoilコレクター、川田ニグラスである。
四人全員と面識がある川田はこう切り出す。

「おお、君たち久しぶり!マジック好き亜侠の四人が揃ってるなんてラッキー!どうだろう、久しぶりのオオサカで仕事も無いだろう?ワシの依頼を受けてくれんかね?」

一同が面食らっている中で最年長のボリスが真っ先に答える。

「仕事の内容と報酬次第じゃわな」

「とあるfoilカードを調達してほしい。金に糸目はつけんぞよ」

「具体的には?」

「札束四つ」

この答えに応対していたボリスとソムが一斉に答える。

「「そんなはした金じゃ動けねーよ!」」

ボリスとソムは生活レベルが高く一般に富裕層といわれるくらい経済的余裕があるのである。何故亜侠をしているのか。

「いやいやこれはあくまでお近づきのしるし的な依頼であって、うまくいけばこれからもっと大きな仕事を依頼させてもらうつもりじゃよ」

富裕層の二人はその答えを聞いてひとまず依頼の内容を聞いて決めることに。
ミス少女はあまり乗り気ではないのか静かに聞き流していたが、しまがおもむろに口を開く。

「拙僧は別に受けてもよいが、それには拙僧がキチガイではないと認めていただきたい。拙僧はキチガイではない」

「アッハイあなたはキチガイじゃないです」

「うむ。拙僧はキチガイではない(にっこり)」

川田曰く、最新エキスパンションのカラデシュに低確率で封入されているマスターピース。本来なら英語しか存在しないのだが、楔文字で書かれた金属モックスがこのオオサカのどこかで剥かれたというのである。

依頼を受けるかどうかでやや話し合いがありつつも、結局を依頼を受け、川田からの勧めもあり四人でチームを結成してチーム名を決めることに。
こちらは神の天啓かすんなり決まることに。
その名も
【血と薔薇とゴスロリキャッツ】

川田が広島にfoilの取引に行く予定があるため、それまでの三日間がタイムリミットである。

12月23日。(金)。夜。
全員で情報収集に奔走するもミス少女、しまが順調に情報を集めたところで何故かソム(♂)がボリス(♂)を言葉巧みに人気のない裏路地に連れ込む。二人きりになったと思いきやあれよあれよと言う間にソム(♂)はボリス(♂)を押し倒し、ボリスの心も身体もその若き血潮で征服してしまったのだ。

12月24日。(土)。朝。
神の天啓によりソムの悪行を幻視したしまはソムを成敗しに急行する。
朝ちゅんした二人の前に立ちはだかったしまは乾坤一擲当たれば即死級の数珠パンチを繰り出すも、ソムはそれを嘲笑うかのようにひらりと回避。
己のトリコとなったボリスにその場から立ち去らせると、改めてしまと二人きりになったことを確認しつつまたもや押し倒しにかかる。
新興宗教とはいえ信仰に捧げた乙女の純情を、まるで野に咲く花を踏みにじるかのようにソムのエレクチオンした男性自身が侵略していく。かくしてボリスに続きしままでもがソムの野望に塗り潰されていくのであった。
ソムの野望。それはラブニャンというブースターカルマを取得するために目についた人間を片っ端から自分のものにするというおぞましいものだったのだ!
なおミス少女は黙々と情報をえげつない速度で収集していった模様。

12月24日。(土)。夜。
これまでに主にミス少女が奮闘して獲得した情報は、
学級文庫イワトビペンギンというアイドルが件のfoilを入手したらしい。
学級文庫イワトビペンギンはミナミの眼鏡屋兼マジックショップ【ぬりかべ堂】にいるらしい。
ということが判明する。

なお、それまでの間に、バクシーシバクシーシとジャリンコにまとわりつかれたり、ボリスが幼妻とデートしていたら人さらいに三時間ほど拐われたり、インド人の死体をスルーしたりした模様。

12月25日。(日)。朝。
紆余曲折ありながらもぬりかべ堂にやって来たチーム【血と薔薇とゴスロリキャッツ】。店員の案内でデュエルスペースまで足を運ぶと、そこには学級文庫と彼女の連れが二人でデュエルをしていた。
まずはボリスが交渉に入る。

「あー、あんたが学級文庫さん?楔文字の金属モックスを持っているとか」

「はいそうですよー」

「ぶっちゃけそれ必要かね?」

「使う訳じゃないけど、どや顔できるんでー」

「よかったら譲ってくれんかね」

「うーん。そうですねー。デュエルであたしに勝てばお金で売ってあげますよ?もしくはブラックロータスとピントレでもいいや」

「では一勝負お願いしようかのう」

そして繰り広げられる学級文庫の先手4キル祭。実は学級文庫は数年前オオサカ最強位を獲得した強豪なのである。

ところがこうなることを予期していたのか、ミス少女とソムはオオサカに最近出来たばかりのオオサカ◯れる屋でトランクをはたいて店の在庫のベータミントのブラックロータス(鑑定書つき)を全部買い占めていたのである。

ボリスがアヘアヘになってるところにブラックロータスを届け無事トレード終了。
川田に約束の品を届けると、野望を叶えたソムはラブニャンの恩恵を受けつつ、次の依頼に備え四人は早々に短い休息に入るのであった。



「命の洗濯」へ続く



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