12月28日。(水)。夜。
川田からの依頼をこなした即席チーム【血と薔薇とゴスロリキャッツ】の面々。なんとなくミナミにある亜侠御用達のbar【ジェイルハウス】でだらだらと過ごしている。
するとだらけきった空間に大きな声が響いてくる。

「おおっ!この間はお疲れちゃん!約束通り仕事を持ってきたぞ!」

foilコレクター、川田である。

「ワシのコレクター仲間に八木沼という古美術好きがおってな。彼がとある品物を探しておる。報酬もたっぷり用意してあるのを預かっておる!受けてくれるな!」

うむを言わせぬ彼の勢いに押されて、いつのまにやら依頼内容をメモ書きし始める四人。これからも彼や彼の友人のコレクション収集につきあわされる未来が予感される場面である。
川田の説明を纏めると以下のようになる。

・ターゲット
世界中を旅した伝説的狂気の建築家、照前(てるまえ)呂前(ろまえ)が遺したとされる「呂前の秘宝」

・「呂前の秘宝」
詳細は不明だが、呂前の遺言によると、十三にある【地獄湯】のどこかにある。

・地獄湯
オオサカ屈指のトラディッショナルヤクザ組織【地獄組】の運営する賭場兼超巨大スーパー銭湯。実は呂前が生前に作った最後の作品であり、108つの風呂全てを味わった者は「呂前の秘宝」に導かれると言われている。

・108の風呂
普段は107つしか入れないが、年末特別企画として大晦日の夜まで秘湯【神秘の湯】が公開されている。

・報酬
必要経費として事前に札巻三つ。成功失敗に関わらず礼として札束一人一つ。無事ミッション成功の暁にはチーム全体にトランク一つ。

ここまでは淡々と聞いていた四人だが、呂前の遺言を聞いたところで一気にやる気が出てくる。

「地獄湯にこの世の全てを置いてきた。欲しけりゃ奪え」

世は正に大銭湯時代!!

某大人気海賊漫画のようなセリフに沸き立つ面々に川田が最後に一言。

「呂前の秘宝を他の勢力も狙ってるようだからくれぐれも気をつけろよ」


12月29日。(木)。朝。
地獄湯に来た四人は早速地獄湯ご利用案内に目を通す。そこには
・男湯ゾーン
25種類。
・女湯ゾーン
25種類。
・水着ゾーン。
30種類。混浴。
・ギャンブルゾーン
27種類。混浴。
・神秘の湯
1種類。混浴。
・宿泊施設
お荷物預かります。重傷未満の肉体点ダメージもたちまち治ります。
・注意
宿泊施設以外に持ち込めるお荷物は御一人様一つのみとなっております。

「これは運がいいわ。ちょうど男女二人づつ別れてる」
「まず男湯女湯制覇してから水着ギャンブルと行きましょうか」
「情報収集は呂前の秘宝についてと別勢力についてじゃよ」(天の声)
「情報収集したらお風呂入れない?」
「入浴と情報収集は同時にしてよいぞ」(天の声)
「拙僧はキチガイではない」
「入浴をマルチタスクで二回するとかあり?」
「しょうがないにゃあ...いいよハート」(天の声)
「やったぜ」
というチーム四人と天の声(仙人)のやりとりが番台近辺で交わされたあとはそれぞれひとまず宿泊施設へ荷物を預けに。

ミス少女
「情報収集は私がしっかりしなきゃ。お風呂にもマルチタスクでガンガン入ることになりそうだし食事を持っていくしかないわね」

山本しま
「ひゃあ数珠しかねぇぞ!!」

ボリス・マーヒル
「自転車持っていっていい?」
「自転車もアイテムには違いないからよかばいよかばい」(天の声)

ソム・パット
「じゃあ僕シトロエン2CV(車)!」
「まあ地獄湯メチャメチャデカいやろしいいんちゃう(建前)ひゃあキチガイこわい(本音)」(天の声)


こうして若干名おかしなことをしつつも早速地獄湯巡りである。

まずは四人で情報を集めつつお風呂もガンガン入っていく。その中で情報収集のスペシャリスト、ミス少女が「呂前の秘宝」について調べあげる。

・「呂前の秘宝」
地獄湯の107種類の湯に入ったものたちが同時に「神秘の湯」に入ると明らかになる。107種類は分担可能。
「呂前の秘宝」を入手した者は、悟りを得て神の力を得る。

情報収集を終え、最初の湯に入ろうとしたところで一人の金髪碧眼で眼鏡の美女に声をかけられる。

「あなた亜侠でしょ。あたしはオオサカ市警刑事部捜査課のビクトリア・レストレード。あたしが来たからには不法行為は発見次第逮捕するんだからね」

そう言うとミス少女の答えも聞かずに何処かへと去っていってしまう。
気を取り直して入浴するミス少女。しかし、短い時間で情報収集と入浴をこなして精神的に疲労した彼女が持ち込んだ食事に手をつけたところ、即死寸前のダメージを肉体にくらってしまう。訳もわからないままに宿泊施設に一度搬送された彼女は大金を支払ってなんとか無理矢理回復してもらうも夜まで安静にすることに。

残された三人で今度は別勢力についての情報を集めるとこんなことがわかった。

・別勢力について
彼らはククバットに依頼して四人を殺そうとしている。暗殺者のリーダーは「毒師」ニザリ。ミス少女が地獄湯内に持ち込んだ食事にいつの間にか毒を混入させていたのである。
しかし、彼らは地獄湯を差配している地獄組と、彼らの所属している沙京流民との関係を考慮し、地獄湯内では直接手を出せないことがわかる。


後編へ続く




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